前回の記事で、『学習行動としつけの原理』について学びましたね!
今回は、前回の知識を応用した実際のしつけ・トレーニング法について紹介します。”トイレの覚えさせるのに苦労した”、”パピークラスについて知りたい”、という方はぜひ参考にして下さいね。
①トイレトレーニング ②ケージに入るトレーニング ③「お手」や「お座り」の基本コマンド ④パピークラスでの社会化
トイレトレーニング
犬の場合
決まった場所でのトイレを教えやすいのは、子犬の時期と言われます。排尿回数が多いのも一つの要因で、この時期にトイレでの排泄を促して褒めることが基本です。
成犬についても子犬と同じ様にトレーニングしますが、排泄回数が少ない・すでに排泄の習慣ができてしまっている・老犬だと学習能力が低下、といった理由でトレーニングに時間がかかることが多いです。
トイレトレーニングのポイントと、やってしまいがちな失敗例をまとめます。
子犬のトイレトレーニングのポイント
わかりやすいトイレ | なるべく寝床と離し、トイレに似た素材を床に置かない |
適切なトイレ誘導 | トイレを複数用意し、排泄のそぶりが見えたらすぐ連れて行く。寝起きや食後も必ずトイレへ |
正しい排泄の練習 | 排泄したらすぐ褒める |
間違った排泄の予防 | 間違った場所で排泄した場合すぐ片付け、匂いを残さない。失敗の罰は与えない。 |
よくある失敗例
場所を間違ったとき叱る | トイレでの排泄頻度が下がり、飼い主が見ていない場所で隠れてするようになる。 |
ケージにトイレを設置する | 排泄物の上で寝る習慣があった場合、意味をなさない。 |
猫の場合
猫ではトイレトレーニングが不要なことが多く、猫にとって心地よいトイレを用意すれば、4週齢ほどの子は自然とトイレを覚えやすいです。
猫のトイレのポイント
トイレの数・大きさ | 可能なら猫の数+1個。大きさは体調の0.8×1.5倍以上。 |
置き場所 | 仲の悪い同居猫の居場所と離し、近くで鏡/窓/騒音/振動があるところは避ける。 |
猫砂の量 | 少なくとも2.5cmほどの深さ。好みの猫砂を探してあげましょう。 |
お手入れの頻度 | 毎日1回は排泄物をすくい取り、毎月1回は洗浄と日光消毒。 |
ケージに入るトレーニング(クレートトレーニング)
ケージを安心・安全な場所と認識させることで、犬や猫が自然とケージに入るようにするトレーニングです。動物病院の来院や、乗り物移動のときに大きなメリットがあります。
まずは、ケージの選び方
ペットが快適に立ったり座ったりするのに十分な大きさの物を選びます。前後/左右や上など、2方向にドアがついている物だと、ケージから出すときに楽になります。
実際にトレーニングしてみよう!
手順の一例を紹介します。くれぐれも、無理やりや、ペットにとって罰になる形で行わないよう注意しましょう。
- 中に好みの敷物や飼い主の古着を敷き、おもちゃやおやつをケージの奥に入れる
- ドアは開けた状態で固定し、自由に出入りできるようにする
- ケージの中を自由にチェックさせ、警戒している時はおもちゃやおやつを持ってケージの近くで遊ぶことから始めます。
- おもちゃやおやつをケージに投げ込み、ケージの中に入る命令(「ハウス」など)をかけ、中に入ることを繰り返します。中に入った状態で、ドアから食べ物を少しずつ与えるなどして、ケージに滞在する時間を長くします。
- 完全に慣れたら、ケージに入るよう命令した後、ケージ内で食べ物を詰め込むタイプのおもちゃを与えて扉を締め、ケージにいる時間を長くしていきます。「ハウス」などの命令が、留守番や動物病院へのお出かけなど、嫌な出来事に結びつかないよう注意しましょう。ケージ内を落ち着いて休める場所だと理解させることが大切です。
「お手」や「お座り」の基本コマンド
待て/お座り/伏せ/おいで/リードを緩ませて歩く、といった基本コマンドを習得できると良いでしょう。ペットがトレーニングを受ける際に重要なポイントをまとめます。トレーナーさんなどの指導を仰げる場合は、参考にご覧ください。
コマンドトレーニングのポイント
練習は飽きるまでやらないで犬が楽しんでいるうちに止める
コマンドは1回だけにし、何回もやらないようにする。ただし、「待て」のコマンドは初めのうち複数回は繰り返して良い
即時に褒める、などの強化を行う
ステップを一つあげて、3回連続で失敗したら前のステップに戻る
静かな環境から開始し、最終的にどんな環境でもできるように訓練する
下の表は、教え方の一例としてステップアップの仕方をまとめたものです。
お座り/Sitと待て/Stay
①飼い主の正面でフードを誘導し、立っているを座らせ、正しく褒める
②飼い主の左横・右横でフード誘導し、犬を座らせ、正しく褒める
③コマンドの後、連続して3つのポジションでフード誘導し犬を座らせ、正しく褒める
④コマンドの後、連続して3つのポジションでフードを持たずに誘導し犬を座らせ、正しく褒める
⑤コマンドの後、3つのポジションで誘導しないで犬を座らせ、正しく褒める
⑥飼い主の左横に犬を座らせ、そのまま10秒待たせる
⑦飼い主の左横に犬を座らせて待たせ、飼い主が正面に移動してから10秒待たせる
⑧飼い主の左横に犬を座らせて待たせ、飼い主が正面に移動してから10秒待たせる。その後飼い主が後ろを回り、左横につくまで待たせる
⑨飼い主の左横に犬を座らせて待たせ、飼い主が正面に移動してから10m離れた位置で犬を待たせる。30秒後、飼い主が後ろを回り、左横につくまで待たせる
伏せ/Downと待て/Stay
①飼い主の正面でフードを誘導し、犬を伏せさせ、正しく褒める
②飼い主の左横でフード誘導し、犬を伏せさせ、正しく褒める
③コマンドの後、飼い主の左横でフード誘導し犬を伏せさせ、正しく褒める
④コマンドの後、連続して3つのポジションでフードを持たずに誘導し犬を伏せさせ、正しく褒める
⑤コマンドの後、連続して3つのポジションでフードを持たずに腰を曲げることなく、小さな誘導で犬を伏せさせ、正しく褒める
⑥コマンドにより、左横で誘導することなく犬を伏せさせ、正しく褒める
⑦飼い主は立ったまま犬を伏せさせ、10秒待たせる
⑧飼い主の左横に犬を伏せさせ、飼い主が正面に移動し10秒待たせる
⑨飼い主の左横に犬を伏せさせ、飼い主が正面に移動する。10秒後、飼い主が犬の後ろを通って左横に戻るまで伏せを維持し、その後コマンドにより座らせる。
⑩飼い主の左横に犬を伏せさせ、飼い主が正面に移動してから10m離れる。30秒後、飼い主が犬の後ろを通って左横に戻るまで伏せを維持し、その後コマンドにより座らせる。
パピークラスを活用した社会化
子犬を対象としたクラスを『パピークラス』といいます。しつけや他の子犬との触れ合いをテーマに数回連続して開催され、6ヶ月齢くらいまでが対象となります。
以上のように内容も濃く、また社会化や馴化には刺激を繰り返し与える必要もあります。
そのため、感受性の高い子犬のうちに、複数回参加することがオススメです。