犬・猫のワクチン接種・ワクチンの抗体価検査について

ネット社会になり情報が簡単に手に入る時代になったため、どの情報が正しくまた誤っているのか、判断が難しいと思います。そんな時は気軽に動物病院に行きましょう。お家で飼われているワンちゃんやネコちゃんにとって何がベストなのか一緒に考えましょう。

 

ワクチンの種類

dog_cat_nakayoshi2
予防する感染症の種類は生活環境や地域により異なりますので、接種前にご相談ください。当院ではワンちゃんは5種混合ワクチンまたは、7種混合ワクチンを接種いたします。ネコちゃんは3種混合ワクチンまたは、5種混合ワクチンを接種いたします。

 

ワクチンには、病原体の毒性を弱くした「生ワクチン」と、感染能力を無くした「不活化ワクチン」があります。
生ワクチンはワクチン接種後に体の中で病原体が増える(増えても感染・発症することはありません)ため、比較的強い抵抗力(免疫)が付きます。
一方、不活化ワクチンは体の中で増えることがないため、安全性は高いものの、得られる抵抗力(免疫)は強くなく、効果が持続しにくいというデータがあります。

 

院内の窓口にてワクチンで予防が可能な病気についてのパンフレットや手帳を配布いたします。

 

コアワクチンとノンコアワクチンについて

 

【コアワクチン】
すべての犬猫に接種すべきワクチンで、全国で発生している重篤な疾病から動物を守るべきもの。
◎犬:犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルス2型
◎猫:猫汎白血球減少主ウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス

【ノンコアワクチン】
ワクチンで予防可能な病原体で、その病原体に暴露される危険性のある個体に接種すべきワクチン。
◎犬:レプトスピラ、パラインフルエンザ
◎猫:猫白血病ウイルス、クラミジア

 

ワクチン接種の目安と接種方法

 

【犬】 子犬 成犬
混合ワクチン
1回目:生後60日前後
2回目:生後90日前後
3回目:生後120日以降

この月齢以降に接種する場合は2ヶ月連続で接種を推奨しております

年1回の追加接種または抗体価検査
狂犬病予防接種 生後90日以降に接種し、役所への登録が法律で義務付けられる 登録後は年に1回予防接種時期に通知状が届きます

子犬の場合、生後すぐからしばらくは初乳を飲んで得られた母子免疫があり、ウイルスから守られています。しかし母子免疫が切れる頃(生後約120日前後)にはワクチン接種が必要となってきます。1回の接種だけでは充分な抗体(抵抗力)が作れないため、1ヶ月毎に2〜3度、追加接種を行います。

 

 飼い主さんからの質問と回答コーナー

① 子犬を飼われた飼い主さんからの質問

  1回目と2回目のワクチンが6種混合ワクチンなのですが、3回目のワクチンも
  6種混合ワクチンじゃないとダメですか?
 
  ⇨  結論からお答えしますと、5種混合以上であればどれも接種可能です。
     どの種類のワクチンを打つかの判断はお住まいの地域や住宅環境により変わります。

 

 

⇨ 子犬の予防スケジュール

⇨ 成犬の予防スケジュール

 

 

【猫】 子猫 成猫
混合ワクチン
1回目:生後60日前後
2回目:生後90日頃
3回目:生後120日頃
年1回の追加接種または抗体価検査

子猫の場合、生後すぐからしばらくは初乳を飲んで得られた母子免疫があり、ウイルスから守られています。しかし母子免疫が切れる頃には(生後2ヶ月~4ヶ月くらい)ワクチン接種が必要となってきます。1回の接種だけでは充分な抗体(抵抗力)が作れないため、1ヶ月毎に2度追加接種を行います。成猫の場合、一年に一度追加接種する必要があります。しかし予防接種が初めての成猫の場合、1回の接種だけでは充分な抗体(抵抗力)が作れない可能性が高いため、1ヶ月後にもう一度接種することをお勧めしています。

※5種混合ワクチンの初回接種時前には、猫エイズ・白血病ウイルス検査を行うことを推奨しております。

 

⇨ 子猫の予防スケジュール

⇨ 成猫の予防スケジュール

 

 狂犬病の注射と混合ワクチンの同時接種について

よく質問いただくのですが、狂犬病予防注射と混合ワクチンの同時接種は基本的に行いません。
理由は、

  • メーカーが違う製剤(ワクチン)のため同時接種による安全性は確認されていない。
  • 万が一副反応が出てしまった場合にどちらが原因か分からない。

 

その為、

狂犬病ワクチン(不活化ワクチン)を接種した場合は1週間以上

混合ワクチン(生ワクチン含む)を接種した場合は1ヵ月以上

の間隔を空けてからであれば他の種類のワクチンを接種することが可能です。

 

 ワクチンの抗体価検査について 2019年7月より開始

ご希望の場合は、来院前にあらかじめご連絡ください。

 ワクチン抗体価検査とは

体内に今現在どれくらいの抗体(抵抗力)が残っているかを調べる検査です。

 

数値によって、

  • ワクチン効果が不十分
  • ・現時点でワクチン効果があるが、1年以内の接種もしくは再検査が必要
  • 十分なワクチン効果が認められる

上記のクラスに分け、数値とともに結果をお送りします。

 

この数値を把握することで、治療や体質など様々な事情でワクチン接種を避けたい犬の重要な感染症に対する抵抗力を把握し、外出やほかの犬との接触について判断することができます。

 

 抗体価検査前の諸注意

1、検査には採血が必要です。

2、検査費にワクチン接種の費用は含まれておりません。

3、検査のご報告には1〜2週間ほどかかります。検査結果より抗体価が低い場合はワクチン接種が必要になります。

4、ワクチンの抗体価検査のために以前接種されたワクチンの予防の種類を教えていただきます。当院でワクチン接種を行ったことがない場合はワクチンの証明書をお持ちいただくか、ワクチン接種を行った動物病院で確認してからお越しください。

5、長期休暇または祝日により検査機関がお休みに入ってしまう場合は検査をお受けできません。

6、可能であれば、検査を受ける前に当院にお問い合わせください。

 

※  狂犬病ワクチンについて
狂犬病予防法により毎年の接種が義務づけられているため、特別な理由(狂犬病鑑定試験、海外への渡航・移住など)がない限り抗体検査は行いません。

 ワクチンを毎年接種するメリット

① 1年で効果が切れてしまうワクチンがある

② 日本でのデータが乏しい

コアワクチン(ジステンパー・パルボ・アデノウイルスに対するワクチン)への3年に1回接種は、北米やヨーロッパを中心とした獣医師の協会「WSAVA」(World Small Animal Veterinary Association)が提唱するワクチンプログラムです。ただし、日本のワクチンでのデータが乏しいため、日本でも本当に3年に1回の接種で問題は起こらないのか疑問が残ります。

③ 抗体価検査は100%信頼できるものではない

④ ペットホテルやトリミング、ドックラン(カフェ)など場所によってはワクチン接種が必要な場合があります。

ペットホテルやトリミングで預ける場合、1年以内にワクチンを打っていることが必須条件とされていることも多いです。各施設で対応が違う為、確認が必要です。

 

 抗体価検査のメリット

 コアワクチンを必要以上に接種する必要がなくなる

抗体価検査をすれば、年に1回のワクチン接種が必要か不必要かがわかります。不必要な注射を避けられるというのが、抗体価検査の最大で唯一のメリットです。これは、特に今までワクチンで副作用の出てしまった犬や、高齢でワクチンを接種するのが心配な犬には非常に大きなメリットになります。

 

 今後、ワクチン接種はどうしたら

抗体価検査にもメリットもデメリットもあります。今後もう少しデータが集まってくることで、ワクチンは3年に1回でもよくなる可能性も高いのではないかとは思います。ただし、すべての子が3年に1回でよいわけでもなく、今のところは、3年に1回でもいい子がいるという程度に考えていただいていた方がいいと思います。

 

参考までに(目安)

犬 5種混合ワクチン 6500円

犬 7種混合ワクチン 8000円

猫 3種混合ワクチン 4000円

 

抗体価検査      7000円

初診(カルテ作成)  1000円

再診          500円

 

 

病院からのお願い

お預かりや入院の際は1年以内に混合ワクチンを受けていることあるいは、当院での抗体価検査の実施をお願いしております。急なお預かりや入院、愛犬・愛猫のために、1年1回の混合ワクチンの接種またはウイルスに対する抵抗力の確認(抗体価検査)が大切です。