一緒に学ぼう!ペットのしつけの基本

動物の行動には、種が生まれつき持った生得的行動と個体が学習して覚えた習得的行動があります。

しつけやトレーニングは、どちらも人が目的に沿った行動を、動物に学習させることです。学習の効果は、その子の個性(動物種・品種・年齢・学習環境・方法)にも大きく左右されるため、ペットの学習の理論を学んではじめて、効率的なしつけを行えると言えます。

動物の学習理論

馴化(じゅんか)

馴化とは、ある刺激に対して起こる行動が、その刺激に何度も晒されることで弱くまっていくことをいいます。アレルギーの治療のようですね。

一般的に弱い刺激は馴化しやすく、大きい刺激は馴化しにくいです。動物でも最もよく観察される自己学習であり、しつけやトレーニングにも多用されます。特に、社会化期は馴化学習が促進されるため、その子がこれから出会う可能性がある刺激に適度に晒してあげることで、問題行動を抑制してあげることができます。

感作と脱感作

ある刺激に対して起こる反応が、通常よりも大きくなることを感作といいます。これまで反応しなかった弱い刺激にも反応するようになり、馴化と逆の現象です。飼い主からの体罰や、母親からの分離などの社会的ストレスは感作を起こしやすいと言われます。

逆に、感作の成立後に刺激に晒し続けることで感作が消失することを脱感作といいます。脱感作は、ペットが学習により習得した反応に対しても影響します。吠えられて犬を怖がるようになった子が、犬と長く触れることで恐怖を感じなくなる、といった現象です。

古典的条件付け

例えば、梅干しの酸っぱさを知ると、梅干しを見ただけで唾液が出るようになります。このように、梅干(中性刺激)を見ただけで唾液が出る(無条件反応)を生じさせるようになることを、古典的条件付けといいます。

オペラント条件付け

特別な誘発刺激の無い自発的な行動をオペラント行動といいます。この自発的な行動のあとに、動物が「好きなもの」や嫌いなものを与えることで、行動頻度が増減する学習をオペラント条件付けといいます。

オペラント条件付けで行動を増やすことを強化といい、減らすことを弱化といいます。しつけやトレーニングでは、言葉やクリッカーを使って強化や弱化を行いますが、自発行動が出たら即時に行うことが効果的ですタイミングがずれてしまうと他の行動をオペランド条件付けしてしまうことがあるため、家庭内でのしつけが難しい原因になります。

 

反応形成

例えば「お座り」を教える際に、犬の腰を軽く抑えてお座りの姿勢に誘導する誘導法や、おやつを犬の頭上に差し出して上を向かせることでおすわりを誘発する誘発法のように、人が犬の反応を作り出して学習させる方法です。

自発頻度が少ない行動を学習させる際に、オペラント条件付けより効率的に学習させることができます。複雑な行動を作り上げるときには、馴化・脱感作・古典的条件付け・オペラント条件付けと組み合わせて学習させます。

 

最初から家庭だけでのトレーニングは難しく、しつけ教室やパピークラスでの学習をきっかけに、お家でチャレンジする方が多いかと思います。飼い主さん・ペットのどちらにもストレスなく、効率的なトレーニングを行い、ペットとの日常をより楽しいものにしていきましょう。