結石は、食餌や水に含まれているマグネシウムやカルシウム、尿酸などのミネラル分が、尿の中のたんぱく質などが結合してできます。結石の大きさはさまざまで、砂粒から卵大まであります。
尿石症の症状
- 血尿
- 頻尿や排尿障害
- 排尿時に痛がる、鳴く
痛みでおしっこの異常がみられることや、これまでに尿路疾患を起こした病歴があるか、といった情報も大切になります。
下の写真は、血尿と通常の尿の比較写真です。特に血尿の方は結晶がたくさん発生していて濁っているのがわかります。
尿石の種類
尿石がどんなミネラル成分でできているか、も治療に重要になります。犬の尿石の種類は、ストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶で約9割を占め、顕微鏡で結晶の形を見るなどして判断できます。
- ストルバイト結晶
- シュウ酸カルシウム結晶
ストルバイト結晶
犬のストルバイト結晶は、尿路の細菌感染によって起こることが多いため、尿検査と一緒に細菌検査を行うことがあります。また、食事療法によって溶かすことができるため、マグネシウムが少なく、尿PHを下げる効果のある療法食と、抗生物質が効果的です。
シュウ酸カルシウム結晶
薬や食事療法で溶かせないのが大きな特徴です。尿道を通過できる大きさであれば排尿促進により除去できますが、それ以上の大きさの場合外科摘出が必要になることもあります。
診断方法
- 尿検査、細菌検査
- レントゲン、超音波検査
- 外科摘出
顕微鏡で尿中の結晶を確認でき、超音波やレントゲンにも尿石は映るため診断に役立ちます。犬の尿石症は、猫と異なり細菌感染が原因になっていることも多いため細菌検査も有用です。
また、尿石の種類によって治療の選択肢が異なるため、種類の特定も重要です。ストルバイト結晶は薬や食事療法で溶かすことができますが、シュウ酸カルシウム結晶は溶かせないため、結晶が小さいうちに膀胱から洗い流すか、外科手術の適応になりやすい傾向があります。
治療方法
- 療法食(結石溶解用、低ミネラル)
- 抗生物質
- 膀胱の洗浄や排尿促進
- 外科摘出
予防について
尿石症の管理は、非常に長い道のりになります。療法食で数ヶ月かけて尿石を溶かしたり、手術で摘出しても、再発する可能性があるからです。
そのため、獣医師から食事療法が定めれられた期間は療法食以外あたえない、なるべく飲水量を増やして排尿させる、細菌感染が起こらないようトイレを清潔に保つ、などの徹底が大切です。