糞便検査

糞便検査には、「寄生虫を探す検査」というイメージがあると思います。もちろんそれも重要ですが、糞便検査ではそれ以外にも多くの情報を得ることができます。糞便中には様々な食渣や細菌が多く存在し、寄生虫卵以外の成分は観察しにくいことがあります。

 

 どんな検査をするの?

糞便検査には大きく2つの検査で構成されています。

 

〜 性状検査 〜

性状検査とは糞便を肉眼で直接検査して、硬さ、形状、色などを観察する検査です。

 

・1回の量
 動物の種類や食事量などによって大きく異なります。下痢の場合は重要な項目になります。

 

・硬さ・形状

糞便の硬さやその形状を観察します。

 

・色調

食事の内容によって影響を受けます。特に、肉主体では黒褐色になります。一般的に茶色〜茶褐色になります。消化管内に出血が見られる場合は黒色または赤色になります。灰白色、緑色、黄色など特徴的な色の便をする病気もあります。

 

・臭気

吸収不良や腸炎などがある場合、通常とは違った強い腐敗臭や酸臭を認めることがあります。

 

・付着物

糞便中の血液、粘膜、寄生虫の一部の有無をチェックします。

 

〜 ワン・ポイント 〜 下痢をしている犬 |西山動物病院|流山市・松戸市・柏市・野田市

下痢などをした場合、獣医さんにどのようなうんちをしていましたか?っと聞かれることがあると思います。下痢をしている場合は以下のことを注意して観察してください。

 

・1日に何回程度排便をしているのか

・その際、大量に排泄したのか、少量の便を何度もしているか

・ベンの硬さを表現する際に以下のポイントを押さえてみましょう

水みたいな下痢(液体状の下痢)、ドロ状の下痢、ソフトクリームがやや溶けたような下痢、ソフトクリーム状の下痢、床に便が付着するけど形はある軟便・・・などみじかにあるもので表現すると伝わりやすいと思います。

排便の姿勢を何度もしていないか

・赤い血液が付着、粘液のようなものが付着、真っ黒い便など

 

いつもと違うところを獣医さんに教えてください!

 

 

〜 顕微鏡検査 〜

 

顕微鏡を使用し、肉眼では観察できないような異常をチェックします。

 

・消化の状態

デンプン粒、筋繊維、脂肪滴の3つの成分を観察して評価します。いずれも食事中に含まれる成分であり、これらすべてが未消化の状態で糞便中に認められる場合は消化不良が疑われます。※食事内容に影響を受けることがあります。

 

・細菌のバランス

正常な消化管には桿菌や球菌など多数の細菌が存在します。一般的に桿菌と球菌の割合は6:4〜8:2で桿菌がやや多めに存在します。この細菌のバランスが大きく崩れていないかを観察します。

 

・細胞成分の有無

疾患によって、糞便中に赤血球や白血球などの細胞成分が観察されることがあります。

 

・寄生虫や虫卵の有無

下図のような卵が糞便中に含まれていないかを観察します。この写真は学生実習で撮影した写真です。

寄生虫の卵|西山動物病院|千葉県 流山市・松戸・柏