犬の皮膚にはさまざまな細菌が住んでいます。普段は悪さをしませんが、皮膚のバリア機能や免疫力が弱まった時に、毛穴や角層で増殖して皮膚炎を起こしてしまいます。これを『膿皮症』といいます。
膿皮症は、『ブドウ球菌』という菌により引き起こされます。
膿疱:”にきび”の様に膿が溜まった状態
毛包炎:毛穴の炎症
膿皮症の症状は?
初期症状では、赤い小さなブツブツがみられかゆみが見られます。ヒトの”にきび”のように、膿がたまった膿疱(のうほう)も現れます。かゆみによりはげしく掻いたり舐めたりして、毛が抜けてしまうこともあります。
必要な検査は…?
- 特徴的な皮膚症状を確認
- 顕微鏡でブドウ球菌の感染を確認
どうやって治療するの?
- 消毒薬
- 薬用シャンプー
- 抗生物質の内服(耐性菌に要注意!)
膿皮症の治療は、皮膚病の範囲や、お薬が飲めるか、定期的にシャンプーできるか、によって様々な選択肢があります。ヒトの風邪と同じように、抗生物質の内服も有効です。
治りにくい膿皮症が増えている…?
上記の方法で治療しても、膿皮症が治らないことがあります。その原因は、
- 薬の効かない耐性菌が感染している
- 皮膚免疫力が低下している
何度も抗生物質を使っていると、抗生物質で倒せない菌が生まれてしまいます。これを『耐性菌』といいます。『耐性菌』は、肺炎・尿路感染など、様々な疾患で治療を難航させるため、注意が必要です。
また、アトピーやアレルギー性皮膚炎など、皮膚免疫を低下させる下地がある場合は再発を繰り返す可能性もあります。膿皮症の管理には、『免疫力の低下を和らげる』、『薬の効かない耐性菌に要注意』がとても大切です。