結石は、食餌や水に含まれているマグネシウムやカルシウム、尿酸などのミネラル分が、尿の中のたんぱく質などが結合してできます。結石の大きさはさまざまで、砂粒から卵大まであります。
猫の尿管は0.4mmほどと言われており、犬と比べて格段に細くつまりやすいため、猫の「尿管閉塞」(尿管がつまる病気)が重篤化する要因となっています。
尿石症の症状
- 血尿、頻尿、排尿障害
- 排尿時に痛がる、鳴く
- 尿が出なくなる(要注意!)
痛みでおしっこの異常がみられることや、これまでに尿路疾患を起こした病歴があるか、といった情報も大切になります。
また、尿道などに尿石がつまり、尿が出なくなってしまうと、猫にとっては非常な危険な状態になります。尿石症が疑われる子で、24時間尿が出ていない場合などはすぐに動物病院の受診を検討してください。
尿石の種類
尿石がどんなミネラル成分でできているか、も治療に重要になります。猫の尿石の種類は、ストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶で約9割を占め、発生率はストルバイト結晶:シュウ酸カルシウム=1:2 程度です。
- ストルバイト結晶
- シュウ酸カルシウム結晶
ストルバイト結晶
犬では細菌感染によって起こることが多いストルバイト結晶ですが、猫では約90〜95%が無菌性で、発生原因は食事が圧倒的に多いです。また、食事療法によって溶かすことができるため、マグネシウムが少なく、尿PHを下げる効果のある療法食が効果的です。
シュウ酸カルシウム結晶
薬や食事療法で溶かせないのが大きな特徴です。尿道を通過できる大きさであれば排尿促進により除去できますが、それ以上の大きさの場合外科摘出が必要になることもあります。
診断方法
- 尿検査
- レントゲン、超音波検査
- 外科摘出
顕微鏡で尿中の結晶を確認でき、超音波やレントゲンにも尿石は映るため診断に役立ちます。
また、尿石の種類によって治療の選択肢が異なるため、種類の特定も重要です。ストルバイト結晶は薬や食事療法で溶かすことができますが、シュウ酸カルシウム結晶は溶かせないため、外科手術が選択されることもあります。
治療方法
- 療法食(結石溶解用、低ミネラル)
- 飲水量を増やし排尿促進
- 外科摘出
療法食に切り替える際は、1〜2週かけてゆっくりと変えていかなければご飯を嫌いになる可能性があり、場合によってはまったく受け付けなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
予防について
療法食で尿石を溶かしたり手術で摘出しても、再発する可能性があるため、再発予防に気が抜けません。
そのため、獣医師から食事療法が定めれられた期間は療法食以外あたえない、なるべく飲水量を増やして排尿させる、細菌感染が起こらないようトイレを清潔に保つ、などの徹底が大切です。